内科クリニックの設計ポイント

2018.03.30

内科クリニックの設計ポイント

今回は、最も多い診療科である内科クリニック(診療科目の表示形式として内科・呼吸器内科・循環器内科・消化器内科)の設計ポイントについてお話します。

国内の診療所(クリニック)総数は約10万件ありますが、そのうち≪内科≫」または≪〇〇内科(呼吸器・循環器・消化器・神経・心療等)≫と標榜する診療所は約6万7,000件と圧倒的に開業件数が最も多い診療科です。
そのため内科の設計ポイントは、あらゆる患者属性を踏まえ、老若男女のさまざまな疾患に対応するための空間計画がポイントとなります。また内科標榜に専門性を加え、先生の得意分野を中心に構成していくかによっても全く違ってくるのです。
たとえば、かかりつけ医の場合と専門性を加えた診療科の場合では機能も異なります。それぞれをクリニック空間構成上で検討すると、下記のポイントが挙げられます。

1.診療科の違いによる設計ポイント

専門性を加えた内科の場合では日帰りベースでの診察・診断・治療がクリニックで完結できる機能が必要となります。


①消化器内科・・・消化器内科では内視鏡検査(胃や大腸)に特化する必要があり、内視鏡を使う診療が多く、前処置として前日より下剤の服用をするのでトイレの個数を多めに設置を考えておきたい。ただ一般の患者さんも多く診察していくのであれば席数はやや多めに確保する方が理想的です。

②循環器内科・・・慢性疾患の患者を多く抱えるため再診が多く、予約制を掲げるクリニックが多いため待合室大きく設けて多数の席数を確保する必要はあまり無いが、盛業後には車椅子での来院が多くなると想定し、入口の自動ドアやバリアフリー、スロープなどを事前に検討する必要性があり、負荷心電図検査用のトレッドミルなどの検査ができるスペースの確保も検討される方がよいと思います。

③呼吸器内科・・・一般内科で扱う診療も多いがインフルエンザや肺炎などの患者が特に多くなる傾向があるため、症状に対応した隔離室を設ける場合もあるので待合ゾーンは少しゆとりを持つことが重要であり、換気設備も充実させることが望ましいです。

2.内科クリニックの設計において重要な3つのポイント

必要な機能には違いが見られます。しかし、いずれにおいても内科クリニックを設計する場合には、機能性以上に重要視している3つのポイントがあるのです。

①患者さんへの清潔感やアメニティ

まず、待合室の椅子を例に挙げてみましょう。具合が悪い患者さんには長椅子ではなく、単脚ソファータイプを、座り心地もきっちり検証したうえで提案します。
次に化粧室のデザインは、スペース的に可能であれば利用する人を選ばないユニバーサルデザインにします。手を洗う水洗はオート水栓、ペーパタオル(※ハンドドライヤーの場合、騒音に注意)を設置して、化粧室出入り口の建具には抗菌材を使用します。直接患者さんが受ける医療行為ではありませんが、患者さんに対する空間や環境の配慮は、クリニックとして迎える側の意思や想いを表すものです。日常生活に最も近い医療である「内科クリニック」の環境は、そこからがスタートであるべきと考えています。

②インフルエンザなどによる飛沫感染患者さんへの機能

診察室を2つの部屋に分け、診察の利便性と感染症の隔離室的機能の向上を図ります。また各処置室や検査室の配置は、診察室を中心にレイアウトしていきます。
ここで重要な点は、基本的に診察室は室内側からの放出を防止する「負圧」、反対に処置室は室内気圧をほかの部屋より少し高く設定し、雑菌やチリ・ホコリが部屋に侵入するのを防ぐ「陽圧」とすることです。このような換気システムの計画により院内でのウイルスや雑菌をコントロールすることが可能になります。

③診察や治療に対する利便性と快適性

胃カメラや内視鏡検査などの医療行為は、患者さんに負担がかかります。専門性の高い診察や治療を行う空間では、もちろん検査室の機能も重要ですが、患者さんが身体を休めるための「リカバリーコーナー」を設けるなど、快適性への配慮が必要です。また、負荷心電図検査に際して、検査衣に着替える場所や貴重品を含め私物のロッカーなど設置により利便性を高めることも重要といえます。

まとめ

「内科・〇〇内科」と標榜する場合、多くは「かかりつけ医」としての機能を必要とします。重要なのは患者さん目線ですが、患者さんの属性が多岐にわたるため、求められる医療環境も多くのことに対応せざるを得ません。限られたスペースでどんな点を重要視して空間を創っていくかは、開業される先生が「目指す医療」をどのポイントにおくかで決まります。まさに空間デザインが"言葉のない伝達機能"になると、思います。

(カテゴリ|診療科目別開業ポイント)

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