今回は、これからのクリニック開業の転換期を迎える成功ポイントについて述べさせていただきます。
高齢化でさらなる医療費増大が見込まれる中、国の方針が変わり、クリニックの在り方が変わりつつあります。
医療費を支える生産年齢人口は少子化で減少しています。このままでは医療提供体制を維持していくことが難しい状況に置かれており、現在政府は方針を変え医療業界全体の改革を進めています。そしてクリニックの在り方についても転換期が訪れたのです。これまで政府はクリニックに専門性を求めていましたが、現在は万能性を求め1つのクリニック内で複数の専門科目を詳しく診ることができるような体制を理想としています。
かかりつけ医の認定要件として2028年度から、夜間や休日の診療を行うことが要件になる見込みです。さらに、癌患者への対応や、紹介率の条件等、一人医師では到底クリアできないような要件が盛り込まれる可能性が高く複数医師での開業が求められます。すなわち、複数医師で複数の科目を標ぼうした大型クリニックが今後の主流となっていきます。
かかりつけ医制度が発足すると、患者さんは大病院志向が強いため内科を中心とした標榜科目の多い大型のクリニックが今後かかりつけ医として選ばれやすくなると推察されます。大型クリニックのメリットとして、MRIやCTをはじめとする大型の医療機器導入を前提とするため複数の医師・科目で設備や人員を共有することにより運用の効率化を図ることができ、リハビリ室等の施設やMRI等の医療機器、技師の兼用が可能です。そして病院レベルの診療体制を敷くことが出来る点が挙げられます。
また大型クリニックを経営するためのポイントとして、資金調達と経営母体の検討が重要です。
資金調達は開業するにあたって必須となりますが、特に大型クリニックを開業するに当たっては、高額の投資が必要になります。現在は、クリニック投資に積極的な地方銀行などでも3億円程度が融資の限界となっています。それ以上に投資が必要な場合は、どのように資金調達を行うのか検討しなければなりません。
まとめ
経営母体としては、個人で経営するほか、医療法人になる、一般社団法人となるという手段があります。一般社団法人に関しては患者さんとのトラブルが増加していたり、保険医療として認めてもらうのが難しかったりするため、それぞれの形態でのメリット・デメリットをよく理解した上で選択することが重要です。