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医院開業コラム

医師偏在対策(新規医院開業規制)の動向

今回は医師偏在対策(新規医院開業規制)の動向ついての対策および取組の方向性について述べさせていただきます。

厚生労働省は第9回「新たな地域医療構想等に関する検討会」(座長:遠藤久夫・学習院大学長)で、「医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージ」の「取組の方向性案」として、開業規制などを含む規制的手法での偏在対策の手法を示しました。

厚労省事務局が示した「取組の方向性案」では6つの案から構成されています。その中でも特に賛否が分かれたのは規制的手法についてで、「外来医師多数区域での開業規制」「保険医療機関の管理者要件に一定の保険医療機関経験を要件とすること」や、「地域医療経験を管理者要件とする医療機関の拡大」などが示されています。

 

厚労省事務局が示した対策パッケージの「取組の方向性案」の概要は以下の通り。

 

1.医師偏在是正プラン・重点医師偏在対策支援区域について

①優先的かつ重点的に対策を進める区域を「重点医師偏在対策支援区域(仮称)」として設定する。

②都道府県の医師確保計画において、「医師偏在是正プラン(仮称)」を策定し、「重点医師偏在対策支援区域(仮称)」、対象医療機関、必要医師数を具体的に示す。

 

2.規制的手法について(管理者要件の対象医療機関の拡大、期間延長)

①医師少数区域等での勤務経験を求める管理者要件の対象医療機関の拡大する。

認定医師(医師少数区域等に6か月以上勤務した医師)を管理者としなければならない医療機関として、現行は地域医療支援病院のみを対象としているが、対象医療機関を拡大する。

②医師少数区域等での勤務経験期間の延長

認定医師に求める医師少数区域等での勤務経験を、現行の6か月以上から延長する。

 

3.規制的手法について(開業制限方案および保健医療機関管理者要件の法整備)

①外来医師多数区域における新規開業希望者への地域で必要な医療機能の要請等の仕組みの実効性の確保。

A.現行の仕組みを医療法に位置付けるとともに、外来医師多数区域の新規開業希望者に対して、事前に診療所で提供する予定の医療機能を記載した届出を求め、都道府県において当該届出の内容を踏まえ、不足している医療機能の提供を要請する。

B.外来医師多数区域において正当な理由なく要請した地域で必要な医療機能を提供しない場合は、都道府県において勧告・公表を行うこと、併せて、実効性を確保するため、保険医療機関制度における取扱いについて、どのように考えるか。

C.外来医師多数区域での開業を許可制とし、開業の上限を定めること。

 

②保険医療機関の管理者要件

保険医療機関の管理者を法律に規定し、管理者要件として一定期間の保険医勤務経験を設定するなどの方策

 

まとめ

最終的な厚労省案が出てくるまで、医師偏在対策について様々な情報が伝えられると思います。これらの情報には敏感になる必要がある一方で、その情報に振り回されてしまっては意味がありません。

可能な限りで新しい情報にアップデートしていきたいと思います。

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