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医院開業コラム

開業後におけるクリニックのリスクマネジメント~労務管理編

クリニックの経営者であり全ての責任を負う立場であるということは頭ではわかっていても、開業後に発生する細かなトラブルにストレスを抱えてしまい勤務医時代との思わぬギャップに悩まれる院長も多くいらっしゃいます。

今回の記事では、特に労務についてのリスクマネジメント策について紹介します。

 

スタッフが頻繁に代ってしまうことにより再診患者様が減少してしまうことが多くあります。院長に仕事のミスをばかりを指摘されると、スタッフの心は離れていきます。その場合には院長に指摘されたくないので、一定の言われたこと業務しかやらなってしまいます。

一定の業務しかやらないスタッフに対して院長がきつくなることが多くなり、そのような場合では院内の雰囲気も悪くなり、スタッフも退職が続き、患者さんを遠ざけてしまうということです。

患者さんはすごく敏感に感じます。すぐに受付や事務の人がしょっちゅう変わっていることに気づきますし、クリニックに親近感も持ってもらうことが出来ません。更にこうした悪い評判はGoogleのコメントへの書き込み等のSNSですぐに出回ってしまいます。

 

スタッフとの距離感がわからないと不安に思う院長は多いはずです。とくにクリニックは女性ばかりの異性のスタッフになるのでなおさらかもしれません。

従業員からすれば普通、院長は遠い存在ですので不自然に無理に時間を作るよりも、クリニックの組織作りをスタッフの皆様と一緒に進める仕組みとして導入するのがおすすめです。

開業当初から就業規則はありますが、いわゆるクリニックのマニュアルというものがキチンと作成されていないケースが多いかと思います。クリニックの自作マニュアルを小冊子にまとめるイメージですね。就業規則のようなものではなく、例えば『患者様に対する呼び方を様にして呼ぶこと』、院内では『スタッフ、院長、患者様から呼ばれたら必ずハイと返事をする』とかとか独自の様々なルールをまとめていきます。

少し面倒だと思ってしまいがちですがスタッフと全体で決めたクリニックのルールは不思議なもので、自発的に守りたくなっていきます。院長が全てこの場合はこうすること、あの場合はこうと一々教えていたら、口うるさいと思われて距離感が遠ざかってしまうのは安易に想像がつくと思います。ポイントはスタッフみんなで作ったクリニック独自のルールです。このクリニック独自のルール作りに院長は直接加わらずにスタッフ同士で作成してもらい任せる。ただし要所でチェックをし『こんなルールも入れてみたらどうかな?』と伝えたりするようにして、数カ月かけて作り上げていくイメージです。

このようにして出来上がったクリニックのマニュアルを朝礼で読み合わせてみたり、新しいスタッフが入ったら『必ず読んでください』と渡したりすれば、業務品質の平準化にもなります。クリニック全体の接遇レベルが上がっていきます。

 

またクリニック側には落ち度がなくても、トラブルメーカーと関わってしまう可能性はありますがその場合には労務のプロを正しく活用することが必要になります。現代は労働基準法を含め様々な法律が複雑化しており、弊社では開業当初から労務対策として社労士に全て任せられるように顧問契約を勧めています。人事に不慣れな院長がスタッフ間のトラブルやスタッフの退職に取り組んでも、ご自身もストレスにさらされてしまいます。

専門家にしかできない、入退職時の手続きや人事労務に関する書類の作成などを依頼すべきだと思います。

スタッフのプライドを傷つけないようにすることも重要です。必ず叱る、指摘するときは1対1で行い、本人のプライドが傷つかないように配慮すべきです。

 

診療時間終了間際に患者さんが来たら、院長は患者さんを診るのは当然とお考えだと思います、ただスタッフにも生活があり、家族が帰りを待っているかもしれません。受付するのが当然だと迫るのは反発を招くことが多いので対策は普段から話し合っておくことです。例えば受付時間が過ぎた患者さんの場合には院長がご自身で受付から会計までやるのも1つの方法です。最低限の人数で、残業できる日を分担しておくのも解決策で予めスタッフとルールを決めて話し合っておけば、特に問題にはなりません。その際に、スタッフも大事にきちんと考えて対策しているという姿勢が伝わることが大切です。

 

まとめ

クリニックを経営する中で、さまざまなリスクはつきものです。多くのスタッフが関われば人事や労務をめぐるトラブルも起こりがちです。適切な距離まで縮めて丁寧なコミュニケーションを心がけ、従業員の主体性を引き出すのも院長の大切な仕事です。ひとりではなく、ご自身の配偶者や身内の目も借りるのがおすすめです。

院長自身もスタッフとともに成長し、地域医療に貢献していく姿勢が何よりも大切です。使命感をもったスタッフは長くクリニックの発展を支えてくれることでしょう。

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