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医院開業コラム

2026年の調剤報酬改定における「医療モール薬局」の見直しについて

2026年度(令和8年度)の調剤報酬改定における「医療モール薬局」を対象とした見直しについて、より実務的・構造的な詳細を整理しました。

今回の改定の核心は、「医療モールの実態を、事実上の『門前(敷地内)薬局』とみなす」という評価の厳格化にあります。

  1. 処方箋集中率の判定単位の見直し

これまで、医療モール内の薬局は「複数の異なる医療機関から処方箋を受けている」という扱いで、特定の医療機関への集中率を低く抑えることが可能でした。

変更点: 同一建物内、または同一敷地内にある複数のクリニック(医療モール全体)を「1つの医療機関」とみなして集中率を計算します。

影響: これまで「集中率85%以下」を維持して高い基本料(45点)を算定していた薬局も、合算されることで95%を超えるケースが続出し、低い報酬区分(基本料2:26点など)への転落が避けられなくなります。

  1. 「門前薬局等立地依存減算」の詳細(15点減算)

特定の立地条件や取引関係にある薬局を標的とした、新たなペナルティ的減算です。

対象範囲: 医療機関と不動産賃貸関係がある場合や、特定の医療モールからの処方箋集中率が極めて高い薬局。

減算点数: 15点(調剤基本料から差し引かれます)。

意図: モールという「箱」の中に安住し、特定のクリニックの患者のみを対象とするビジネスモデルから脱却させ、地域全域の処方箋を受け入れる「地域支援機能」への転換を迫るものです。

  1. 特別調剤基本料A(5点)への移行と除外規定の廃止

いわゆる「敷地内薬局」に適用される極めて低い基本料(5点)の網が広がります。

特例的な除外規定の撤廃: 以前は「近隣に別の薬局が存在する」などの条件があれば、モール内薬局でも高い基本料を維持できる「逃げ道」がありました。今回の改定でこの除外規定が廃止または大幅に厳格化されます。

結果: 多くの医療モール内薬局が、従来の45点から一気に5点(特別調剤基本料A)まで引き下げられるリスクが生じ、経営に甚大なインパクトを与えます。

  1. 調剤基本料2の判定基準「1,800回」への引き下げ

中規模以上の薬局を対象とした報酬区分(26点)のハードルが下がります。

回数基準の変更: 月間の処方箋受付回数が「2,000回超」から「1,800回超」へ緩和(対象拡大)。

算定項目の追加: これまで計算から除外されることが多かった在宅処方箋も集中率の計算に含まれるようになります。

影響: 効率的なオペレーションで枚数を稼いでいたモール型薬局ほど、より低い点数の区分に該当しやすくなります。

まとめ

総じて、医療モール薬局は「効率的な経営形態」から「最も報酬が削られる形態」へと評価が逆転したと言えます。

今後、こうした薬局が生き残るための「かかりつけ要件」の強化や、在宅業務へのシフトといった具体的な経営戦略が必要になり、クリニックの誘致においては企画している調剤薬局やドラッグストアが対象とするクリニックの選定が厳しさを増すことになります。今後クリニック開業の際には、今まで以上に調剤薬局、ドラッグストアとの連携が重要になり、良好な関係性を保つことが不可欠になります。

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