クリニック開業における医療接遇とは、目の前にいる患者さんが何を求め、何をしたいと望んでいるのか推察し、患者さんの喜びや不安、痛みや苦しみを想像して、その気持ちに寄り添い応えるために行動することなのです。
医療人であれば誰もが持っている「患者さんに対する思いやりの心」ですが、その心は存在していても患者さんには見えていないことに留意が必要です。そこで、目に見えない「おもてなしの心」「思いやりの心」を見えるようにする方法が礼儀です。
医療人でなくとも社会人であれば、言葉遣いや挨拶・身だしなみなどの「形」に尊敬や感謝の気持ちを込めて表します。特に患者さんの命を預かるような医療の現場では、一般社会で求められる以上の接遇マナーが必要でしょう。高度な医療技術や医療知識は患者さんとクリニックおける信頼関係があってこそ活きるものであり、信頼関係を築く基本となるのが医療接遇だからです。そして、医療接遇の思いは実際に行動にして初めて患者さんに伝えることが可能になります。
医療接遇とは、ホテルのように最上級の敬語をつかい、深々とお辞儀をしてお見送りする、といったサービスの提供とは少し違うものです。
患者さんの置かれた状況や立場を考えて、患者さんが求めていることを想像し、寄り添う気持ちを行動にする。例えば、患者さんの年齢や生活環境に合わせて、患者さんが心地よいと感じる言葉を選ぶ。患者さんの表情や仕草を見ながら、声のトーンや表情を変化させる。
患者さんは自分に共感を示してくれること「このクリニックに来れば話を聞いてくれる」「説明が丁寧で分かりやすい」安心や信頼、やさしさや親しみを感じます。その思いが「このクリニックで受診したい」「このクリニックなら家族や友人に紹介したい」という思いにつながり盛業するクリニック開業につながるのです。
まとめ
日々の業務の中で忘れてしまいがちですが、安定したクリニック経営ができるのは患者さんが受診してくださるおかげです。常に「数あるクリニックの中から私たちの診療所に来てくださり、ありがとうございます」という感謝の気持ちを持ち続けて患者さんと接していくことが何よりも大切です。