医療総合コンサルティング株式会社メディカルリサーチ関西版 医療総合コンサルティング株式会社メディカルリサーチ関西版

医院開業コラム

継承開業のメリットとデメリット

継承開業のメリットとデメリット

継承による開業は、以前のオーナーとなるドクターが利用していたクリニックの土地や施設、設備、営業権などを金銭等の対価を支払うなどして譲り受け、新たにクリニックを開設する形となります。

クリニックを譲る側と譲られる側、双方にメリットがある形で継承する形になれば理想ですが、実はそう簡単にはいかないケースも。継承には落とし穴があると認識するためには、メリットとデメリットを踏まえて開業を考えていくことが大切です。

継承案件が増加している背景

継承ニーズが増加している背景はまず、ドクターの高年齢化です。近年では、クリニックに従事するドクターの高齢化が進んでおり、引退を考えるドクターも少なくありません。 その際発生するのがクリニックの後継者問題です。後継ぎとなる子息がいない、廃業したいが患者やクリニックのスタッフのことを考えると簡単に畳むことはできない、子どもに継がせるのが不安、といった開業医も多く、第三者への継承が増えています。

ドクターの高齢化以外にもいくつか理由があります。 まず、病気やけがによる診療継続ができないケース、親の介護、海外移住、ライフスタイルの変化などを理由に、誰かにクリニックを譲りたいと考えている方も少なからずいらっしゃいます。

一方で勤務医の方は、初期投資資金、設備資金などの費用が準備できない、あるいは融資が受けられない、患者の確保に不安がある、といった理由から新規開業をためらう方も多く、継承物件にて開業を検討される先生方が一定の割合で増えています。 このように「譲る側」と「譲られる側」双方においてのニーズが増加しているのです。

継承のメリットと注意点

継承で得られるメリットは、大きく分けると開業費用の抑制・患者及びスタッフの引継です。

継承開業費用

継承開業した場合には新規開業においての必要な土地や建物などの不動産費用、医療機器などの設備費用など、大きな費用を抑え、低コストでクリニック開業することができます。 また前オーナーが作り上げた”クリニック”が資本となるため、銀行からの融資も新規開業した場合より受けやすくなります。

患者の引継

新規開業とは違い、患者をゼロから集める必要がなく、ある程度患者のいる状態からスタートできます。 長年の実績があり、地元の人たちになじみがある点は利用のしやすさにつながりますし、認知度がある点は、広告コストを必要以上かけることなく患者を集めることができる点で大きなメリットとなります。

スタッフの引継

スタッフを引き継げる点も魅力です。採用コストをかけずに済むため経営におけるメリットが大きく、また、患者や地域を良く知るスタッフを引き続き継続できる点も、経営資源として大きな魅力となるでしょう。 そのほか、地域の医師会などに参加しやすいといったメリットも、継承開業にはあります。

継承にあたっての注意点

譲渡する側との経営理念が合わず、継承がスムーズに運ばないケースが考えられます。 そもそも継承する側の医師が、継承後の経営に何も言ってこない場合、問題ありません。しかし医師によっては、自院で今までやってきた医療サービスや、自分の経営方針などに強い思いがあり、継承後の経営に口を出してくるケースもあります。 このような場合、患者の引継ぎの関係もあり、前院長の方針を無碍にできないため、新院長の目指す医療がすぐに行えない可能性があります。

次に患者離れの問題です。 診療方針の違いにより患者さんが離れてしまうケースがあります。 前院長の診療が地元で支持されている場合、一定数の患者は院長の交代後、クリニックから離れてしまいます。ただ、継承にはこの事例はつきもの、一定数は必ず減少してしまうものなのです。 急な交代で、多くの患者を失わないように、継承の際は、半年程度は前院長と2人で診療を行い、患者の引継ぎを行うことが大切になります。

スタッフの問題も起こりえます。スタッフからすれば、地域、そしてクリニックの患者のことは自分の方がわかっていると考えています。それだけに新院長の診療方針に対し「納得できない」「新しい院長は患者のことを何もわかっていない」とし、関係がうまくいかないケースがあります。 継承ではコスト面や施設面ではなく、人的側面が最大のネックになることもあります。スタッフの継承は慎重に考えた方が良いでしょう。全てのスタッフに対し、面接の機会を設け、新体制を構築したほうが良いです。

最後に立地の問題です。 そもそも継承した立地がよくないというケースです。 継承にあたっても、新規開業で立地を探すときと同様、事前に立地調査し、今後集患が望める地域かどうか見定める必要があります。近隣の競合にどのようなクリニックがあるか、地域の人口が増加傾向にあるか、あるいは減少傾向にあるのかなどをしっかりとチェックします。 現在何人の患者が来院し、ピーク時には何人来ていたかといった情報だけでなく、長期的視野に立ち、この地で今後20年、30年とやっていけるかどうかという視点で考えることが大切です。継承案件に迷われた時は是非ご相談ください。

north