高齢者満足度が高いクリニックのつくり方
ご高齢の患者さんは、オープン時間よりも前に来院される方がいらっしゃいます。まだオープン時間になっていない場合や悪天候の場合、どのような対応をすればよいのでしょうか。ここでは、お年寄りの患者さんの満足度を高めるために抑えておきたいポイントをご紹介いたします。
早朝に来院するお年寄りのための配慮
①クリニックのオープン時間
オープンのタイミングは、スタッフの出勤時間や準備時間などを考慮し、大幅に早める必要はありません。しかし、待っている人がいる場合は数分早く開けるなどして、少しでも外の方を気遣う気持ちを表現しましょう。「おはようございます。今日は寒いですね。オープンには少し早いですが、どうぞ中へお入り下さい。」などと声掛けをすれば、より気持ちの温かさが伝わりますね。
このようなたった少しの気遣いで、クリニックの満足度が大きく変わっていくのです。 入り口近くにいるスタッフは、早く入れてあげたいと思っていても、オープン時間を律儀に守っている場合もあります。早い時間から患者さんがいらっしゃった場合の対応などを院長自ら伝えておけば、スタッフもいざというときに動きやすいでしょう。
②外で待っている患者様への配慮
外で待機してもらう場合は、ご高齢の方が疲れてしまわないよう、入り口近くにベンチを設置しておくと良いでしょう。場合によっては具合の悪い患者さんがいらっしゃることもありますので、横になりやすいベンチならより安心です。
待機場所で少し困るのは、喫煙所の設置場所ではないでしょうか。喫煙所を設ける場合は、風の流れを確認し、患者さんが待機する場所よりも風下になるような配慮が必要です。また、吸い殻入れを設置したとしても、その他の場所へポイ捨てをする方もいらっしゃいます。クリニックの入り口付近や喫煙所付近は定期的に巡回し、きれいに維持しておきましょう。
③悪天候でも利用しやすい環境づくり
クリニックの利用しやすさは、雨の日などの悪天候の日によく分かります。お年寄りに優しいクリニックにするためには、ぬれないエリアで傘をたためる十分なスペースがあること、濡れた傘を置いておける傘立てが見つけやすい位置にあることが重要です。傘をたたむスペースは、車を寄せて送迎する際のひさしにも使えるようにデザインすると、高齢者に優しい入り口環境が出来上がります。
また、途中から雨が降ってきた場合などは、入り口に滑り止め用のマットを敷いてもらうようスタッフにお願いしておきましょう。クリニック内が泥で汚れないようになる他、ご高齢の方の転倒事故を事前に防ぐことにもつながります。入り口付近は特にですが、建築時に滑り止め加工を施しておくと良さそうです。
④高齢者を意識した設計
ご高齢者の方の中には、普通に歩くことも難しく、少しの段差でも体に負担がかかってしまう方もいらっしゃいます。クリニックをデザインする際は、床の滑り止め加工に加えてスロープを設けるなどすると、車椅子の方や足の悪い方にも優しいクリニックになりますね。スロープをつける場合は、車椅子が誤って道路に出てしまうことを避けるため、スロープの出入り口が道路へ向かないような工夫も忘れずに。
まとめ
ご高齢の方がどんどん増加している現代では、これからますます高齢の患者さんが増えていくでしょう。クリニックを建設する際は、患者様を意識した設計を心がけ、ご高齢者を意識した接客ができるようスタッフへの指導と連携が大切です。