小児科クリニック開業のポイント
全ての診療科目の中で、小児科の開業は一番口コミを取りやすい開業です。
親御さんはスマートフォンを活用し、口コミはあっという間に想像できないくらいの人々に広がります。ですから、インターネットとスマートフォン(一部携帯電話)を意識した開業戦略を採れば、開業の早い段階から軌道にのせることが可能です。
逆に、「待ち時間が長い」、「スタッフの対応が横柄だ」、「なかなか治らない」、「クリニックが汚い」など、クリニックの悪い評判もお母さんの間ですぐに広まってしまうため、注意が必要です。
順番待ち予約システムの導入
特に小児科においては長く待たされるという状況に大きなストレスを感じますので、スマートフォン対応のインターネット順番待ち予約システムを導入するようにしてください。
家やクリニックの駐車場で待てるようにするだけでも、待たされている感覚はかなり軽減され、また院内感染のリスクも軽減できます。
立地については、住宅地での開業、そして駐車場を設ける
小児科に来院される方は、お子さんと付き添いの親御さんがほとんどです。
子どもが病気になった時の親御さんの心理としては、「早く自分の子どもを先生に診てほしい」という気持ちでいっぱいです。そのため、駅周辺ではなく住宅地エリアでの開業が良いでしょう。また、自動車や自転車でお子さんを連れてくることに配慮して、充分なスペースを確保した駐車場・駐輪場も必要です。
少子高齢化による長期的な戦略が必要
今後は、少子高齢化によって、小児科の患者数は全国的に減少していくことが予測されます。弊社でも開業後に患者数が伸び悩み、増患支援のご相談・依頼される先生方が多くなってきており、長期的な戦略を立てる際は、クリニック周辺の人口動態などを確認して、今後の潜在患者数の推移を把握しておく必要があります。
合わせて、競合する「小児科」と、患者層がバッティングしやすい「耳鼻咽喉科」が多いエリアでは、健診や防接種の対応など自院の特徴を押し出し、患者数を伸ばすような戦略が必要になります。
隔離室の設置
郊外や地方で比較的広い診療所を安く確保できる場合、隔離室を設けることをお勧めします。
クリニックの形状等にもよりますが、水痘、おたふくかぜ、麻疹、風疹など感染性の強い病気の患者用として入口から分けることもあります。
その場合、受付のスタッフを呼び出すインターホンが必要になります。
受付から分けることもありますが、その場合は、患者様の誘導導線を工夫する必要があります。なるべく、他の患者様と接しないよう、最短で隔離室まで誘導する体制が求められます。
その他にも、開業される地域や患者様の特性や肺炎、骨折などを疑う場合にはX線撮影装置がある医療機関等の診診連携ができやすい地域か、各個別診療所で対処することを期待されている地域かで、装備も大幅に異なります。
その装備は、損益分岐点を大幅に上下させ、経営にかなりのインパクトを与えることになります。
待合室を土足にはしない
紫外線滅菌器付収納ケースで滅菌したスリッパを用意するほか、床暖房を入れてスリッパ利用をなしとするケース、床に座り込む子どもや汚れた靴を履いている子どももいるので、履替えとするクリニックが多いです。
キッズルームは設置しない
現在では子ども同士の喧嘩や感染防止の見地から設置しない場合が多く、インターネット順番待ち予約システムの導入や待ち時間の短縮にスタッフ教育に力を入れるクリニックが増えています。
小児科クリニックの適正面積は30坪~40坪前後といわれておりますが、X線撮影装置を設置せず、開業時からインターネット順番待ち予約システムを導入すれば、25坪前後での開業も可能です。賃料を軽減させた部分を駐車場・駐輪場の確保に充てる方が実用的です。
スタッフ教育の徹底
特に小児科の場合では、スタッフの応対によりクレームとなるケースがとても多く開業前からマニュアル作成を含めスタッフ教育に力を入れて頂きたいと思います。
小児科において患者様は小さなお子さんが中心になりますが、親御さんへの説明と納得が求められる科目になります。先生はもちろんのことスタッフにもインフォームドコンセントを徹底したクリニックづくりを心掛けてください。
インフォームドコンセントを徹底することでクレームの大部分は防ぐことができます。しっかりと説明し、納得してもらう体制を仕組みとして構築することが大切になります。