皮膚科クリニック開業のポイント
現在、保険診療をメインに美容皮膚診療を併用した開業が多くなっています。
皮膚科の場合だと、地域性を考慮した診療体制をつくること、開院後の評判を意識して運営をしていくことが大切です。
開業地は比較的人通りが多い場所をお勧めします
皮膚科開業の場合は、2つの診察室と1つの処置室を設けるクリニックが多いため、25~30坪で開業される先生が多いです。
開業地はクリニック経営の立ち上がりを早くするため、人通りが多い場所や、地域の方に認知されやすい場所をお勧めします。
診療や治療内容に特色を持たせた開業戦略を計画する
地域性を十分検討した上で、診療や治療内容に特色をもたらしたほうが良いでしょう。
他の診療科目に比べ、皮膚科の患者さんは小さなお子様から年配の方、男女問わず幅広く来院されますので、開院当初は患者さんのターゲットを絞り、戦略を立てた上で診療を行ったほうが良いでしょう。
先生が幼児を診るのが得意であれば、幼児を中心に診療を行い、付き添いの保護者の方に自費診療や化粧品を勧める方法があげられます。その保護者の方からの評判を聞いて、ご家族やご近所の方が来院するようになり、クリニックの集患に繋がります。
開業当初は最小限の医療機器の導入を
地域性や先生の診療に対するお考えにもよりますが、開業時に過大な医療機器の導入はあまりお勧めしません。
開業後、クリニックの経営がある程度軌道に乗ってきた段階で、徐々に導入することをお勧めします。
美容系機器の導入費用は1,000万円以上と、開業時点ではかなり高い買い物になります。開業時点では、電子カルテ・顕微鏡・オートクレーブがあれば、最低限の診療ができるかと考えられます。
美容系機器の導入は、開業後にクリニックのコンセプトと患者のニーズを考えた上で導入の判断をおすすめします。
女性視点を大切にした設計レイアウトづくりを
自由診療に力を入れていく場合は、女性患者を多く集めなくてはならないため自由診療を受診される女性の視点を考えながら、きめ細やかなサービスを検討しましょう。
例えば、お化粧直しやブラッシングなどができ、女性患者さんがゆったり使えるようにパウダールームがあると便利です。
パウダールームを検討される際は、待合室から見られないレイアウトにしたほうがよいでしょう。合わせて、ウェットティッシュや綿棒など女性があったらうれしいと思うものを常備すると喜ばれます。それも大量に置かず小ロットにして小まめに補充することがポイントです。
また、子連れの女性でも利用しやすいようにトイレのスペースを広めに設計し、『ベビーキープ』を設けるといったことも検討事項にあげられます。
よりスピーディーな受付対応
皮膚科は、あらゆる診療科目の中で最も患者1人当たりの診療単価が低い科目です。よって、他科に比べてより多くの患者を診ないと収益が上がりません。診療時間は限られております。診療単価を補うため、『受付~診察~会計』までの流れを短くし、より多くの患者を診察できる体制づくりを心掛けてください。
新規開業時の患者様は、必ず以前受診されていた皮膚科と比べられます。具体的には、『受付~診察~会計』までの流れをシンプルかつ効率的な体制にする、医師でなくても出来る業務はスタッフに任せる体制を築いていくことなどが上げられます。
また、夏の繁忙時期の診療となると、診察待ち時間が1時間以上になることが有りますが、患者さんからのクレームが多くなり、スタッフも焦りがでて、診療に影響がでてしまうことがあります。開業当初から受付順番待ちシステムの導入をおこなってください。導入時から患者さんへの認知の徹底には半年程度の時間がかかりますが、自分の診察の時間が近くになったら、来院されるので、待合室での『イライラ』が少なくなり、『受付~診察~会計』までの流れがシンプルかつ効率的になり、患者さんからの評判がでてきます。