眼科クリニック開業のポイント
眼科の開業は、治療の範囲をどのように設定するかによって、立地選び・クリニックの設計・導入する医療機器など大きく変わります。眼科クリニックの開業が増えているため、クリニック経営および診療体系など他のクリニックと差別化できる特色があることが重要です。
開業時に行う診療・検査の選択を
開業時の機器を検討する際に最も考慮すべき点は、白内障手術などの手術を行うか否かが重要になります。通常、手術用機器を揃える際には、手術を行わない場合に比べて2,000~3,000万円程度、機器のコストが上がります。
また、クリニックの面積もレーザー治療レベルの場合は30~40坪前後、手術を行う場合は50~60坪前後必要になります。
開業地は『ファミリー・高齢者の多い地域』をおすすめします。
眼科は老若男女、幅広い年齢層をターゲットにすることができます。
子どもであれば学校のプールの授業があるので結膜炎の有無が話題になりますし、高校生・大学生であればコンタクト処方が増えますし、高齢者であれば高い確率で白内障に罹患します。
そのため、眼科の医院開業は幅広い年齢層の患者を取り込みやすいよう、ファミリーが多くいる住宅地エリアが望ましいです。
ただ、子どもからお年寄りまで幅広く住んでいるエリアが良いのはもちろんなのですが、どちらかといえば、眼鏡処方・結膜炎などの利益の少ない医療ばかりになりやすい若年層よりも、多様な理由で来院が予測される中年・高齢者の層をより重視したほうが良いと思います。
そのため診療圏調査、特にその地域の年齢分布の調査が重要になってきます。
戦略を練った上で、クリニック経営及び診療体系を検討されたほうが良いでしょう。ただ単に「人口が多く、競合が少ない場所」が良いというわけではありません。
クリニック設計
眼科を訪れる患者は眼が不自由なだけではなく、高齢者や車椅子の患者も多いです。診療所内は暗所が多いうえ、散瞳薬を使用してからの検査もあるため、クリニックのバリアフリーは必須です。特に車椅子患者の動線が確保されるよう、各室のレイアウトには配慮した方がよいでしょう。
暗幕で囲われて、診療の声が筒抜けのクリニックが今までの普通のスタイルでした。近年、患者様のプライバシーを配慮して個室と暗幕を併用するスタイルが人気のようです。古いクリニックは、これだけは新しいクリニックのように改修工事自体ができません。コストがかかることなので、どこまで取り入れるか十分に検討する必要があります。
メガネ店との連携対策
視力検査と眼鏡・コンタクトレンズの処方はメガネ店でも行えるのですが、やはり一定数の患者が「より正確で安心感のある検査・処方」を求めて、眼科を訪れているのは事実です。 特に親が子どもの眼鏡を作る場合などは慎重になり「念のために、眼科医の先生に診てもらったほうが…」となりがちです。
眼科クリニックにとって、視力検査と眼鏡・コンタクトレンズの処方は重要な収入源の一つです。近場にメガネ店があって連携が可能であれば、この手の患者さんが来院する確率が上がりますから、近場にメガネ店があるかどうかというのは非常に重要なことといえるでしょう。