日本医師会による「第5回 日本の医療に関する意識調査」によると、患者の医療機関に対する不満第1位は「待ち時間」だという結果が出ています。また受けた医療に満足していない人のうち、実に44.4%もの人がその原因を待ち時間だと回答しています。
クリニックの待ち時間が長いことは、患者にとって大きなネガティブ要素のひとつ。医師の診療がどんなに良くても「あそこに行くと待ち時間が長いからなぁ」といったマイナスのイメージを持たれるかもしれません。
患者さんの待ち時間をいかに短くできるかは、患者の満足度を左右するのみならず、クリニックの運営において大変重要な課題と言えるのではないでしょうか。今回は待ち時間を短縮する際に参考にしていただける対策をご紹介します。
①患者数の平準化
患者数を平準化することで、混雑する時間帯を少なくしましょう。クリニックの患者様は平均的に高齢者が多く、午前中に集中する傾向があります。再診の場合には次回予約を混雑する日や時間帯を通知し、比較的に待ち時間が少ない時間帯、曜日に予約して頂くなどの施策を行うことで、患者さんの待ち時間の短縮と増患効果が期待できます。またホームページや院内の掲示板等で混雑日時に関する情報発信を行うことも大事です。
②システムの改善
クリニックのホームぺージに予約システムを導入しておくと、患者さん自身でスマホから予約を入れてクリニックを訪問できます。また、自分の順番近くになるとスマホに通知を送ることもできますので、患者はクリニックの待合にいなくても構いません。近くのカフェなどで時間を潰してもらうことも可能です。待合でじっと待つ必要がないので、患者さんへのストレスはほとんどないといっていいでしょう。
また、今何番の人が診察を受けているのか、何人待っているのかなどの情報も送れますので、患者により正確な待ち時間を知らせることが可能です。患者さん視点で待ち時間についての情報が無いことは心理的な負担があり、その軽減のためにもおすすめです。
③自動精算機の導入
総合病院ではよく見かける自動精算機ですが今から5年前にはクリニックでは皆無でした。弊社でも毎年多くのクリニック開業支援を行う中で2021年頃から導入が増え、昨年では新規開業の約60%のクリニック様が導入されています。自動精算機を導入することにより、診察の会計をすべて患者さんが一人で行えます。それにより、会計の時間短縮にもつながりレジ締めの際にも過不足は無くなります。
④ドクターズクラーク採用による診察時間の短縮
わずか1人あたり30秒の診察時間短縮することが出来れば、1日60人の外来では30分もの影響をもたらします。この30秒を短縮する工夫としては、診察中の院長の電子カルテ入力作業をドクターズクラークがおこなうことにより院長の事務作業を減らし診察がスムーズに行われます。院長がカルテに向かう時間を少なくすることで、患者さんとの対話の時間を増え、患者さんの待ち時間を減らすことが可能になります。患者さんの顔を見ないで電子カルテの画面を見て診察してしまうので患者さんとのコミュニケーションが少なくなり患者さんの満足度が低くなる傾向にあります。
まとめ
クリニック待ち時間対策を行うことは、単に患者満足度を向上するだけでなく、患者さんの問い合わせやクレームの対応を減らし、職員の負担を大きく軽減することにつながります。患者さんの不満に向き合い、自院に取り入れられるものを適宜、ぜひ柔軟に取り入れてみてはいかがでしょうか。