最近のクリニック開業では特に美容皮膚科や婦人科の開業が増加している傾向で、弊社への開業相談においても美容皮膚科や婦人科は内科に次いで多くなっています。弊社では毎年各科ドクターから120~150件程度の開業相談を受け、私自信も日々ドクター様との面談をさせて頂いておりますが、年々クリニック開業についての相談件数は増加傾向にあります。
既に多くの主要各駅、複合商業施設内においても各科クリニック開業済である上、テナント賃料も高額になりつつある現在では開業可能な物件が減少していることもクリニック開業相談の増加に繋がっている傾向にあります。
開業増加が著しい科目の特徴として、皮膚科では保険診療においては単価が安く、患者一人あたり3,000円~3,500円程度です。内科で1日40人程度と同様の報酬を得るには、皮膚科では70~80人程度必要がありますが、自由診療であるの美容皮膚科を加えれば診療単価が上がるので保険診療と自由診療の両方を標榜するクリニックが増加しており、保険診療のみでの皮膚科開業を検討されておられたドクターにおいても、開業前に美容皮膚科で経験を重ねてから開業される傾向にあります。一方で数年相次いだ心療内科の開業はやや収束した印象であり、相談件数や開業も減少している傾向に有りますが、それでも年10件程度の御相談を頂いております。
以前は美容といえば手術治療が主流でしたが、現在はアンチエイジングのためのボトックス注射やレーザー治療が中心で、一定期間が過ぎると再診に訪れる性質もあり、保険診療の皮膚科でベースを固めつつ自由診療も増やしていくという戦略が望ましいとお考えのドクターが多くなっています。
また婦人科では不妊治療のクリニックもニーズが高まり、開業が増加する傾向にあります。産科を標榜しないクリニックでは質の追求が絶対であり、体外受精を担う胚培養士を教育して成果を出す、また精神的ケアもできる、口コミで広げる等の計画が必要となりますが、美容皮膚科と同様に保険診療と自由診療の両方を標榜し、実績とともに自由診療の領域を広げるというのが最近の傾向です。
またこれらの科目においては、開業場所として視認性も利便性の良い好立地を選択されるべきでは有りますが、どうしてもテナント賃料が高額になる傾向があり費用対効果として最適地であるかの判断が重要になります。
まとめ
クリニック開業地選定には現存する競合クリニックの調査ばかりに気を取られがちですが、いずれ必ず発生する競合医院の存在についても十分考慮した上での開業地選定が重要です。