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医院開業コラム

自由診療導入のメリット~その対策(最新版)

1.自由診療のメリットと導入事例

①収益性の改善・・・保険診療と自由診療は異なる点としては、自由に価格設定ができる点があります。そして患者一人あたりの単価も保険診療よりは高いケースが多く、売上の増加も期待できます。

ただし自由診療の内容によっては、価格相場がある程度決まっており、クリニック独自の広告をおこない、サービス内容を検討していくことも必要となります。

②競合クリニックとの差別化・・・クリニック経営においては競争は激化しており、自由診療は他のクリニックとの差別化を図るための有効な手段となります。

開業立地の患者層のニーズに対して特定の診療、治療法を提供すること、柔軟に対応することにより差別化が図れます。このような点も自由診療のメリットと言えるでしょう。

③自由診療の導入事例

自由診療は、様々な診療科で導入できるので、地域の患者ニーズや、競合クリニックの状況を考慮して柔軟に対応することができます。

(1)保険診療をメインにしている皮膚科では、ボトックスやヒアルロン酸注入や、医療機器レーザーによる脱毛やシミ取り自由診療を導入しているクリニックが増えています。また、脱毛症(AGA)への治療、スキンケア商品の販売やなども行われています。

一般的な診療をメインにしている内科が、エイジングケアのトータルサポートを切り口に、認知症予防からAGA治療、スキンケア、サプリメントの販売提供を行っている例が存在します。

(2)消化器内科での内視鏡を使用した人間ドックや健康診断など、予防に焦点を当てたサービスを提供するクリニックも見受けられます。

(3)耳鼻科や眼科ではアンチエイジング、予防を目的に、患者ニーズに合わせてサプリメントを販売されているケースもあります。自由診療の導入ステップと注意点

④ 自由診療における注意点

(1)必要コストと収益性の評価

自由診療は保険診療よりも高額な収益が期待できますが、一方で初期投資が高額になり過ぎては、せっかくの収益性への期待効果も薄くなってしまいます。

必要な設備投資、人件費、広告費用などのコストを詳細に計算し、それに見合った収益が見込めるかどうかの検証が必要です。医療機器の購入費、施術に必要なスタッフの人件費、集客するための広告費を差し引いて利益が見込めるかの計算が必要となります。判断基準としては医療機器の購入費用に対して、回収までの期間を検討するようにしましょう。短期間で有る程に高収益が期待できます。

(2)スタッフ研修の実施

自由診療には知識やスキルが求められるためスタッフ教育が重要となります。

新しい医療機器を用いた自由診療を導入した際には、正しい使用方法を学ばなければなりません。患者が自由診療の内容を理解して利用してもらうためには、スタッフからの丁寧な説明が必要となります。

スタッフ全員が自由診療について理解し、質の高いサービス提供するため、院内のハードとソフトの両面にわたって準備することが大切です。

(3)自由診療導入に対する広告

自由診療を導入しても知ってもらえなければ、利用者は増えず収益も期待できなくなってしまいます。特に広告は、自由診療の特徴や価値を伝えるための重要な手段となります。ホームページ、SNS、リスティング広告などを活用してクリニックの特徴や自由診療の内容を発信していくことが大切です。

また注意しないといけないのは医療広告の規制です。医療広告では患者に誤解をさせないため、過度な広告は厳密に制限されています。自由診療を広告する際には、標準的な治療の費用や保険診療が適応されないことを必ず併せて記載することが義務付けられています。医療広告では煩雑な規制も多く、確認しながら計画を立てる必要があり手間がかかります。専門業者に依頼することも検討しましょう。必要に応じて改善や修正を行い、自由診療の質を高めるとともに、患者満足度の向上を図ります。

 

まとめ

この記事では、保険診療だけでは医院経営が難しい時代を生き抜く一つの手段として、自由診療の導入の必要性を説明しました。自由診療には、ニーズ調査や競合リサーチなどのマーケティング戦略が必須です。Web広告も検討するとなるとより専門的な知識とスキルが必要となってくるでしょう。今後のクリニック経営戦略の一つとして、自由診療導入の参考にしてください。

 

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