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医院開業コラム

継承開業か新規開業か?②~開業資金に対する考察

今回は開業費用の比較検討、その視点から述べさせていただきたいと思います。

 

開業費用の違いについて

・・・開業のご相談をいただく中で開業費用が安いのは新規開業と継承開業のどちらですか?というご質問を頂戴します。新規開業の場合、一般的に内科では30坪ほどのテナントでクリニック開業をするにしても運転資金を含む開業費用として大凡5,000万円程度は必要ですが、継承開業の場合には1000万円以下という案件もある場合がありますので一見継承開業の方が開業費用は安く済むように見えると存じます。しかしこの視点に関しても一概に判断するのは難しく、譲渡対価が安い案件でも、下記のように結果的には新規開業よりも高くなることがあります。案件毎にしっかりと精査を行うことが重要です。

 

継承時かかる費用の例

①内装の解体費用・・・継承したが、一部改装が必要な場合には通常に新規で内装される場合と異なり、まず旧内装を取り壊す解体費用がかかります。家具のみ新しくされたいという場合でも家具の購入費用に加えて古い家具の処分費用が余計にかかります。

②医療機器の処分費用、残リースの引き継ぎ・・・前クリニックと診療科目が異なる場合や、クリニック一式で継承をしたが不要な古い医療機器あった場合、処分費用がかかります。また全ての医療機器購入されておられる場合が少なく、リースに残金があり引き継いでほしいと要望されるケースも多く、実際には必要が無い医療機器においてもリース残金を負担して欲しいと要望されることも多くあります。

③紙カルテの処分費用、移行費用・・・古くからのクリニックでは紙カルテのままで診療をおこなっておられる場合も多く、新しく電子カルテに移行する場合の費用や前クリニックの患者情報を電子カルテに移す費用がかかります。

④広告物の作り直し・・・継承開業でも新規開業でも各種広告物の費用に加えてホームページ、看板、資材、名刺等の追加費用でかかる事もあります。

⑤継承手続きの費用・・・仲介を行う業者への仲介料、新規開業では不要な譲渡契約書を作成する弁護士費用、等の費用は新規開業にはそもそも不要な費用になります

⑥医師会入会費用・・・継承開業では医師会入会権は継承をできないことが多く、新規開業費用が掛かります。

 

まとめ

多くの案件で、継承した後にも開業費用が必要なケースもあります。継承の売却価格だけに捉われて決めてしまうのではなく、物件毎に上記のような視点を加えて細かく比較してみる必要があると存じます。

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