クリニック開業において、日々現金管理が適正に行われ、その出納を証する領収書や患者さんの窓口負担金の書類が整然と整理保管され医院の会計、税務処理の正確さを証明することが必要です。クリニック収入の把握、診療所組織内部の不正への牽制という意味でも大きな役割があります。
1.窓口会計チェック
①レジがあり、日計表がある場合
レジの1日収入額と、日計表の1日の収入合計を、毎日照合する(照合担当者は日計表に署名する)
1日の間にも、午前診療と午後診療の時間帯で担当者が変わる場合、その時点で仮締めをして、現金残高を合わせる。過不足ある場合には原因追究し報告書を提出させるようにすること。必ずレジペーパーを発行し現金との照合は、複数の人が実施する。
②レセコンから、負担金請求書を打ち出し、領収書に代える場合
レセコンの1日収入額と、日計表の1日の収入合計を毎日照合すること。
2.入金のポイント
①月計表の点検
月計表作成後は他の担当者を含め点検し、必ず署名するようにする。
②銀行入金
原則窓口現金は、全額銀行へ、診療日毎に入金する診療日ごとの入金を行なう方が、故意に入金した場合に発見しやすい。
③スタッフに入金を任せる場合
スタッフに入金を任せる場合には、窓口収入入金帳を記帳させて、必ず、後日通帳入金額と照合すること。
④院長への現金渡し
院長もしくは奥様が、スタッフからの窓口収入受渡し時に、必ず現金を確認すること。後日確認した場合封筒の表書きより現金が不足しても責任を問えない。院長渡しの封筒には、日付・金額・担当者名を記入する事。
⑤抜き打ちチェック
院長が、随時、抜き打ちで、日計表や残高試算表をチェックする。
3.小口現金の取り扱い
①準備金額
5万円程度の金額で、医院の実情に応じてスタッフに預ける金額を設定してください。支払については、必ず医院名を記入した領収書を受け取るようにして下さい。レジペーパー等がある場合は領収書なしでも可ですが領収書が無い場合には、市販の出金伝票等に記入させて下さい。毎日、現金と帳面の残を照合させて下さい。小口払いのルールとして1件いくら迄にするかのルールを決めてください。現金過不足が生じた場合、速やかに報告書を提出させて下さい。
②小口現金の取り扱い
小口現金は、別途、定額を補充し、従業員に小口現金出納帳を記帳させて、管理させる。手書きの領収書を使用する場合には領収書用紙は、必ず院長の了解を得て、購入する。 領収書用紙は複写式のものを使い、書き損じ分は、処分せずに控えの頁とともに保管する。領収書は、連番順に記載させ厳重に管理する。
4.不正発生時の対応
①不正、誤りを発見した場合
初期の段階で発見し厳重に対処し始末書や再犯の場合は懲戒解雇といった姿勢を示すなどが必要
②窓口差額について
窓口差額は、様々の要因で発生しますが、スタッフによる横領が原因となっていることもありますので十分にご注意ください。経営者が一旦発生した場合のダメージを避ける為の最低限必要な管理とお考えください。
まとめ
クリニックの現金は窓口の現金、窓口で払う経費専用現金、院長が医院外で払う経費専用現金の3つで管理できていれば、お金の流れがすっきりし、税務調査が入っても、安心です。